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コンサルタントが教える業務改善のコツ!

コンサルタントが教える業務改善のコツ!

第6回 業務マニュアル・業務記述書の正しい活用方法

2010 年 11 月 26 日

Cc: dysturb / Flickr

今回のコラムは、業務マニュアル・業務記述書を効果的に活用するための方法について、問題解決・業務改善の側面からお話ししましょう。

私は仕事柄、問題解決の研修講師をよく務めます。

問題解決の研修といっても、一般に入門書などで取り上げられている「どうして結婚できないのか?」といった個人的な問題を題材としているのではなく、会社で起きる業務上の問題を扱った企業研修をおこなっていますので、「業務改善」の話が中心になります。

通常、当社のコンサルティングでは、業務改善プロジェクトを実施する際に、

  • ①:問題発見
  • ②:問題確認
  • ③:目標設定
  • ④:原因分析
  • ⑤:解決策立案
  • ⑥:解決策評価
  • ⑦:計画立案
  • ⑧:実行
  • ⑨:評価

という9つのステップに分けて進めていきます。
したがって、問題解決の研修においても、大抵の場合はこの9つのステップの最初の「問題発見」から始めることになり、
・商品の品質にかかわるクレームが絶えない
・二重請求をしてしまった
といった業務上のトラブルを明記する(問題を発見する)ことからスタートします。

このような問題を発見したら、次は、それが本当に「問題」であるのかを定量的に捉える「問題確認」をおこないます。問題確認、目標設定ができると、いよいよ問題解決の最大の山場である「原因分析」のステップへ進みます。

原因分析では、「なぜこのような問題が生じたのか?」「○○だから」「ではなぜ○○なのか?」というように、「なぜ?」という問いを繰り返すことにより、表層的ではない問題の深遠(真因と呼ぶケースもあります)に迫ります。
その結果、解決策立案ステップで、問題の再発を防止できるような実効的な打ち手を考えることが可能になるのです。

具体的にさきほどの例で考えてみましょう。
・商品の品質にかかわるクレームが絶えない
・二重請求をしてしまった
という問題の原因を、「なぜ?」を繰り返すことによって掘り下げていくと、最終的にはどのような原因(真因)にたどりつくのでしょうか?

実際に研修を受講した方々の原因分析を見ていると、最終的に、
・業務フローがわかっていない
・正しい手順が遵守されていない
というところに原因が辿りついている人が、大変多いのです。

ということは、解決策立案ステップにおいて出てくる解決策は大抵、「業務マニュアルの完備」となるわけですが・・・

このような解決策自体は、まったく誤ったものでも、悪いアプローチでもありません。
ただ、こういった解決策に至った方々に、数ヶ月後に「その後いかがですか?問題は解消しましたか?」と尋ねても結果はあまり芳しくなく、多くの場合「業務マニュアル(業務記述書)は作ったけれど、実際には誰も参照をしていません」・・・と、こんな返事が返ってきます。

あなたの会社でも眠ったままの業務マニュアル(業務記述書)がありませんか?
なぜ、業務マニュアル作成プロジェクトはいつも「作って終わり」になるのでしょうか。

そもそも、業務マニュアルは
①その業務を本当に理解している人にとっては、参照する必要の無いものです
②一方、その業務を本当には理解していないものの、理解しているつもりの人にとっても参照する必要を感じていないものです
③そして、業務を理解してない人にとっては・・・世の中の業務マニュアルは、ずばり、使い勝手が悪いのです
こんな背景から業務マニュアルはいつも「作って終わり」になって、問題の解決まで行き着かないのです。

まず③について考えてみましょう。
このコラムを読んでいる皆さんも、入社したばかりの新人時代やジョブローテーションがあった最初の頃は、「業務マニュアルがしっかりしていたらどんなに助かるだろう」と感じたことと思います。しかし、実際には業務マニュアルは「存在しない」か、「あっても使い勝手が悪い」のです。使い勝手の悪さは、参照したい事項が業務マニュアルのどこに書いてあるかがわからない!に尽きると思います。

私もそうでした。
私は銀行員として社会人のスタートを切りました。
銀行は業務マニュアルがバッチリそろった組織で、書庫には広辞苑のような分厚い業務マニュアルが山のようにあります。
新人時代に分からないことを先輩に聞いた際、「そんなことはマニュアルに書いてあるでしょ!ほらっ!ここよ!」と怒られてしまいました。しかし、先輩に「なぜ私の尋ねたことがこのページに書いてあると分かるのですか?」と聞くと、「そんなものは、仕事ができるようになると自然に分かるのよ!」と言ったのでした。
つまり、業務マニュアルは、業務をすでに知っている人や業務に慣れている人が、記憶が薄くなったときに参照するのには使えるのですが、業務を知らない人、これから覚えようと言う人にとっては、業務マニュアルのどこに何が書いてあるのかが瞬時にわからないため、使用勝手の点で致命的な欠点を持っています。

では、どんな業務マニュアルだったら、この致命傷を治せるのでしょうか?
答えは、「業務フローチャートとの連携」です。

業務フローチャートをなぞって、「この部分がわからない」という作業(業務)にぶつかったとき、その箇所の業務マニュアルが簡単に参照できる、というように、業務フローチャートが業務マニュアルの索引になっていれば良いのです。

J-SOXでも、業務フローチャートと業務記述書(業務マニュアル)は概ねセットで作成されます。ISOについてもシリーズに関わらず、品質管理であろうと環境であろうと、同様です。
本来なら、業務マニュアルは業務フローチャートと連携していることが理想ですが、実際にはこのふたつがそれぞれ分離独立した、連携のないものであることが使い勝手を悪くさせ、その結果として業務マニュアルが「作って終わり」になるのです。

なぜ、連携がとれていないのでしょうか?
業務フローチャートはパワーポイントかVISIOで、業務マニュアルはワードで作成しているパターンが多くはないですか?そのことが、業務フローチャートと業務マニュアルの連携がとれていない大きな原因になるのです。

業務フローチャートと業務マニュアルを効果的に連携させるには、1つの作業と、1つの業務マニュアルの項目を1対1で対応させることがポイントです。

前回のコラムで紹介したプロセス・ラボが独自に開発したプロラボメソッドによる業務フローチャートは、そのような活用方法に最適な手法です(前回のコラムはこちら!)。
パワーポイントやVISIOで描かれた、絵としてのフローチャートではできなかったことが、プロラボメソッドでは、EXCELという表計算に落とし込まれたフローチャートを使用することによって、1つの作業(セルの列番号)と、1つの業務マニュアルの番号を1対1で対応させることができます。

つまり、プロラボメソッドによる業務フローチャートが業務マニュアルとの連携を可能にすることで、業務マニュアルが「作って終わり」にならず効果的かつ持続的に活用されることになります。

従来の手法によるフローチャートとプロラボメソッドのフローチャート、合計4種類のサンプルを並べて比較できるフローチャートサンプルが無料でこちらからダウンロードできますので、ぜひご参考にしてください。

さて、念のため、②つまり、「本当には理解していないけど、理解しているつもりの人」への対応も考えておきましょう。
というと、誰かとなりの人のことのように聞こえるかも知れませんが、実はあ・な・た・だったりします。
「知るを知るとなし、知らざるを知らずとなす、これ知るなり」と、論語でもいうように、またソクラテスも同じようなことを語っていますが、自分の理解していない部分を知っているということは、なかなか難しいことです。

「自分が理解していないことは何かを知る」・・・そのためのツールは、月並みなようですが、チェックリストとテストです。

「チェックリストもテストも面倒で馬鹿馬鹿しい!」と言わずに費用対効果が見合うレベルであれば惜しまずするべきです。
私の友人のジャンボの機長は、羽田沖30キロでひとつのエンジンが止まったとき・・・などおよそ考えるとキリがないほどの状況をシミュレートしながら安全運行を確保しています。
費用対効果のレベル感はまったく違っても、ビジネスのプロフェッショナルとしてお給料をもらっている限り、もっと自らにテストを課して、精度をあげる鍛錬をしましょう。
勿論、それを個人の意思に任せるのではなく、会社の人事制度などにしっかり組み込むことも大切です。

では、最後にもう一度確認をしておきましょう。

・業務記述書を有効活用するためにはフローチャートとの連携が大切
・業務記述書との連携を可能にするフローチャートは表計算による表記
・そのフローチャートを含むサンプル例が無料でダウンロードできるページはこちら!
株式会社プロセス・ラボ
プロセス・ラボ社は企業の業務現場、製造現場、システム導入・運用の現場における業務改善コンサルティングを手掛ける。
業務現場・コンサルティング・アウトソースのそれぞれの経験を通して培った業務プロセスを理解・改善する実践的な手法を開発し、研修・コンサルティングを提供している。

(コンサルティングメニュー)
■講義中心に学ぶ→業務改善手法の研修 ■手を動かしながら技術を身につける→フローチャート作成講座/業務改善ワークショップ ■改善成果をあげながら体得する→業務改善コンサルティング/システム(ERP)導入コンサルティング/業務フローチャート作成請負

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