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カナモリさんのいうとおり~

カナモリさんのいうとおり~

人は変われる。その意志ときっかけがあれば。

2008 年 10 月 23 日

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【編集部からのコメント】
第一回は「人は変われる。その意志ときっかけがあれば。」をお送りします。スキルアップ本などのビジネス書が売れている今日この頃、“変わりたい”と思っているビジネスパーソン多いですよね。でもなかなか“変わる”までの道のりは険しいのが実情かと思います。そこで記念すべき第一回には勇気をもらえるテーマを選んでみました。本コラムで変わるためのヒントが見つかればと思います。

「こんな自分を変えたい!」と思ったことは誰しも一度や二度はあるだろう。持って生まれた外見はともかく、内面の話。それでも現実には、なかなかにそれは難しいことなのだけれど・・・。
しかし、ちょっとしたきっかけで人は変わる。また、そのポイントさえわかっていれば自らそのきっかけを作り出すこともできるのだ。

08年9月8日の日経新聞朝刊5面の記事で、「レバレッジ」シリーズの著者、本田直之氏が<都会と地方で視野広げよ 現役こそ2地域居住を>のタイトルでインタビューに応えていた。リタイヤ組ではなく、現役世代こそ<週末や休暇をセカンドホームで過ごし、仕事以外の世界を見つける>ことで、<視野が広がる>と自身の東京・ハワイでの二地域居住体験をからめ、その効用を語っている。地方や特に外国では都会の仕事の話ばかりしていては誰も話を聞いてくれなくなるので、自ずと話のネタを仕入れるため、格段に視野が広がるということだ。

いいきっかけの作り方ではあるが、一拠点を築くだけでも汲々としている身としては、なんともハードルが高い。しかし、核心は二拠点を構えることではなく、別の所にあるように思える。

大前研一氏の語録に次のようなものがある。
「人間が変わる方法は3つしかない。
1.時間の使い方を変える。
2.住む場所を変える。
3.付き合う人間を変える。
この3つの要素でしか人間は変わらない。
もっとも無意味なのは『決意を新たにする』ことだ。
行動を具体的に変えない限り、決意だけでは何も変わらない。」
※書籍「ドットコム仕事術」・雑誌「プレジデント」05年1/17号「ビジネス・ブレークスルー」7月3日配信メルマガ

筆者自身のことに置き換えて考えると、5時に起きる朝型に調整し、「時間の使い方」を変えて確かに仕事が効率化した。4年半前に独立しているので、朝の時間だけでなく、時間の制約全般が大きく変わったているのだが。
しかし、最も変わったと思うのが「人との付き合い」だ。
一人でできる仕事ばかりではない。故に、コンサルティングやプランニングの仕事では、同じような独立している仲間を募って取り組んでいる。気心の知れた仲間も多いが、お互い独立した事業者なので、その時々の都合があり、いつも同じメンバーが組めるわけではない。新しいメンバーとも組むことになる。仲間の輪が広がる。
企業研修やビジネススクール、大学や大学院で講師もしている。長くて半年~1年、10数回程度の講義(セッション)で、受講者は常に入れ替わる。しかし、講義中だけでなく、オフセッションでのやりとり、懇親会などでも多くのバックグラウンドを持った人たちと話をすることができる。
会社員時代、いつも同じ上司と部下の中に自分はいて、クライアントも新規業務は発生したものの、それなりに固定化されていた。新しい人との接触機会が格段に上がっているのが、ここ数年の変化だ。

「ホーソン実験」という有名な事例がある。
1924年から1932年までシカゴ郊外にあるウェスタン・エレクトリックのホーソン工場で行われた実験の結果からの考察である。
工場の照明を明るくしたり暗くしたりと、外的な刺激が作業環境にいかに影響するか。また、賃金、休憩時間、軽食、部屋の温度や湿度などの作業環境や待遇面がどのように影響するのかなどを検証した。結果としては、照明の明度に関わらずその変化によって、また待遇や環境変化毎に作業効率は上昇が認められた。つまり、その結果は従来の、「人間は経済合理性に従って動く」という考え方には馴染まないものだったのである。
考察の結果、実験を行った心理学教授レスリスバーガーと精神科医師のエルトン・メイヨーは次のように結論づけた。つまり、被験者である工場の労働者は「現在、大規模な意義深い実験に協力している」という意識が効率を高めているのだと。そして、そのことが作業を行う環境よりも、参加している人間の意識やそこで形成される人間関係によって作業効率が大きく変化するのだと。それは「経済合理性」よりも「感情による意志決定が優先される」という人間の本質を表わしていることから、「能率を高めるには感情へのアプローチが重要である」という「人間関係論」の基礎を築くこととなったのである。

大前氏の「住むところを変える」は環境を変化させることだが、その効果は結果として本田氏の勧める二拠点居住による「新たな人との接触による視野拡大」と同じ「付き合う人を変える」に通じるのではないだろうか。
ホーソン実験に参加した労働者の人間関係は、「非公式組織における仲間意識」による作業効率向上を示しているという。

筆者の好きな言葉は「今日は昨日の続きでも、明日は今日の続きではない」だ。明日も今日の続きと考えて、毎日を同じ環境、同じ人々と過ごしていたのでは人は変わらない。
住むところを変えることが難しければ、新たな人と出会って刺激をし合うことだ。
人が変わろうとした時に「決意を新たにする」は意味がないと大前氏は説く。しかし、きっかけを作るという意志を持って行動が伴えば人は変われるのだと思う。

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