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マーケティング NOW 2014

マーケティング NOW 2014

New!「合理的なのに愚かな戦略」出版しました

2014 年 10 月 29 日

ルディー和子さんからお知らせです!

  新刊「合理的なのに愚かな戦略(日本実業出版社)」を出しました。ブログを通じてつながっている皆様に読んでいただければとてもうれしいです。「はじめに」の一部抜粋と、目次を紹介させていただきます。なお、「はじめに」をクリックしますとアマゾン書店にリンクいたします。

はじめに

  ソニーやシャープ、日立やパナソニックといった日本を代表する企業の業績が急激に悪化して市場を驚かせました。あるいは、資生堂や吉野家のように、ブランドとか価格といった重要な要素でつまづき業績が低迷する例もみられるようになっています。こういった失敗や失速の原因を分析したビジネス誌の記事などを読むと、過去の成功体験から脱却できず傲慢になっていたとか、経営者が特定の部署やプロジェクトに愛着があったとか、過去のしがらみにとらわれていたとか・・・どれも人間の感情に深く関係する要因ばかりです。日航のような大手企業が倒産すれば、官僚的体質になっていた、つまり、大企業病にかかっていたと評されます。大企業病はリスクを取るのを嫌い現状維持をつづけたがる人間の本源的性向から生まれます。

  経営やマーケティングの戦略を立てるということで思い浮かべるのは、膨大な量の情報を前に、高度な学習教育を受け広範囲にわたる教養を身につけた経営者が、他の経営陣と議論を重ねたうえで論理的かつ理性的に熟考して判断をくだす・・・という光景でしょう。しかし、これは、意思決定プロセスのすべてではありません。知識、記憶、学習、思考を含む認知活動だけでは人間は決断を下すことはできません。認知は行動を起こすためのプロセスではないのです。

  一流企業の頭脳明晰であろう経営者が、なぜ、同じ間違いを繰り返すのか? 米国ビジネススクールの著名な学者によって書かれた経営書を熱心に読む経営者たちが、なぜ、誰からも指摘されるような単純な間違いを犯すのか? 理由は簡単です。ほとんどの経営やマーケティング戦略に関する本は、読者が論理的に考え意思決定を下すことを前提として書かれているからです。

 データや資料にもとづいて戦略を立てるまでは論理の世界です。でも、それを実行するかどうかの決断は理性だけでは決められません。過去の経験に基づくひらめきや、成功体験から生まれたしがらみ、プライドや功名心、執着心といったよう要素が大きな影響力を行使します。優秀な経営者であるからこそ、自分が理性以外の要素で判断しているとは思ってもみない。これが、有名企業が経営ミスを犯す最大の理由です。

 本書では、ビジネス上の重要な決定が論理的思考だけでは決められていないこと、それが、企業が失敗する真の原因だということを、具体的例をあげて解説させていただきました。

 また、ビジネスの世界で正しいとして常套句のように使われている言葉やそれに関係する考え方にも異議を唱えさせていただきました。たとえば・・・、

日本の消費財メーカーの多くは、真の意味で消費者と真正面から向き合ってきませんでした。流通チャネルの確立に成功することでNo.1の座についた企業が多く、顧客は消費者ではなくて販売店でした。B2C(対消費者ビジネス)をしていたつもりでも、実際にはB2B(対企業ビジネス)しかしてこなかったのです。ですから、不特定多数の数百万人とか数千万人の消費者と双方向のコミュニケーションをするのは実は得意ではない。ブランディングとは何か理屈でわかってはいても、感覚的には理解していないのです。
「女性が輝く社会」という化粧品会社の宣伝みたいなスローガンで、女性の社会進出促進活動が活発です。でも、ビジネス社会でいえば、いくら女性や外国人の雇用・登用を進めようとも、肝心の企業の中核にいる日本人男性の画一性が変らない限り、女性や外国人の力が活かされることにはならないでしょう。多様性が必要なのは、企業の中核にいる日本人男性なのです。

グローバルな時代だというのに、若い世代が内向きで困る。海外に留学する学生の数は減る一方だ・・と嘆くのは、前の世代の考え方です。いまの若者たちが地元志向で自分の家族や友人との関係を重要視するのは、グローバルな時代にそった賢い選択です。こういった世代が生まれたことを千載一遇のチャンスと捉え地方再生の原動力とする考え方が必要です・・・・・(以上、「はじめに」から一部を抜粋)

 

  全編にわたって、次のような企業の具体例が満載です・・・・《サッポロビール、サントリー、ベネッセ・コーポレーション、キヤノン、ゼロックス、アップル、ソニー、東芝、ダイソン、パナソニック、サウスウエスト航空、吉野家、松屋、アマゾン、トヨタ、ファーストリテイリング、シャープ、資生堂、楽天、野村證券、ホンダ、ナイキ、YKK、富士フイルム、日立、三菱ケミカルホールディングス、IBM・・・その他》

目次

第1章 「顧客志向」と「売上」との相関関係は低い

「顧客志向」は経営者を安心させるための言葉
「おもてなし」と「顧客を知ること」の大きな違い
優良企業は顧客の声に耳を傾けて競争に負ける
きれいごとで終わっている「お客様第一」主義

第2章 「勇気」がなければ価格は変えられない

価格を上げられないのは憶病だから?
人間のあやふやな数字感覚(消費者のあやふやな価格感覚)
十年間を棒にふった牛丼戦争
名経営者でもおちいる認知プロセスの罠

第3章 過去の成功がもたらした「しがらみ」がブランドをつぶす

レクサスが高級ブランドになれない理由
トヨタにはチャネル戦略はあってもブランド戦略はなかった
企業ブランドしかつくれなかった資生堂
消費者の購買選択:意識選択は無意識のうちに準備される

第4章 日本企業がコミュニケーション下手な本当の理由

日本人のコミュニケーションの特徴
日本企業は社交が苦手
暗黙知は無口であることを正当化しない
ストーリー(物語)が注目される理由

第5章 会社組織には「規模の経済」は通用しない

「選択と集中」は普通の会社になること
適切な規模は経営者の資質によってきまる
大企業であり続ける確率は低い
経営者の無意識の心理(シャープの場合)

第6章 幸せを感じるために敢えて小さな会社で働く

大(大企業)は小(小企業)を兼ねない
経営者の資質を神経科学から考える
優秀な経営者はトリアージができる人
大企業は不自然な存在
地方再生をになう中小企業の存在

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