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Blog Action Dayは、世界中のブロガーや、ポッドキャスター、ビデオブロガーが、年に一度、同じ日に同じ話題について取り上げるということに挑戦している非営利のイ ベントです。インターネット上で、グローバルなテーマについての興味が喚起され、議論のきっかけとなることを目指しています。 今年は10月15日、テーマは「Poverty(貧困)」です。
今回参加表明してみたものの・・・「Poverty(貧困)」について真剣に向き合ったことがなかったので、なにを書いていいのか迷いました。せっかく当サイトはビジネス情報を発信しているので、どうせならビジネスと絡めて書いてみたいと思います。取り上げたのが貧困市場について論じている「ネクストマーケット」という書籍。結構評判になった書籍です。
2004年のAmazon.com編集者投票によって「全米No.1ビジネス書」に選出されたほか、エコノミスト誌によって2004年のベスト書籍25冊の一つに選出されるなど、高い評価を獲得しています。
「読まずにはいられない本だ。世界が等しく繁栄するには、我々がビジネスのやり方を変革しなければならない」 ---マイクロソフト社・会長兼チーフソフトウェアアーキテクト ビル・ゲイツ
「新興市場について、斬新なアイデアをもとめているのなら、もうほかを探す必要はない。これがその答えだ」 ---オルブライト元米国国務長官

ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略

著者:C.K.プラハラード 翻訳:スカイライト コンサルティング 出版社:英治出版

内容

世界には、1日2ドル未満で生活する貧困層が40億人いる。本書は、経済ピラミッドの底辺に位置するこの貧困層(Bottom of the Pyramid=BOP)こそ、今後急速に成長する魅力的な市場だと指摘。企業は彼らを、慈善や援助の相手としてはなく、ビジネスの対象として重視すべき と主張する。貧困層を「顧客」や「消費者」に変えるには、先進国向けの製品・サービスに少し手を加えるといった対応では不十分。技術、製品・サービス、ビジネスモデルそのもののイノベーションが欠かせない。 BOP市場の基本となるのは、「パッケージ単位が小さく、1単位当たりの利潤も低い。市場規模は大きいが、少ない運転資本でも利益を出せる」ビジネス。例 えば、米P&Gは低収入で現金不足のBOPに消費力を作り出すため、「使い切りパック」のシャンプーを販売した。ブラジルの家電チェーンは無理の ない利子とカウンセリングで、BOPにも高品質な家電が買えるようにした。その他、医療、金融サービス、農業関連ビジネスなど様々な分野の成功事例も詳しく解説する。 BOP市場に参入することで得たノウハウ、実現したイノベーションは、先進国市場でも活用でき、企業の成長、発展に大いにつながると説いている。

読書メモ - 企業と貧困層のWin-Win関係が貧困を緩和する?

本書では、企業がBOP市場へ積極的に関わり中心的な活動として位置付ける、またBOP自身も市場に積極的に関わり、活動的で情報に敏感な消費者になることを求めています。企業と貧困層の相互作用、貧困層のニーズを中心とした市場を共創(Win-Win)することが、貧困を緩和すると言っています。
Win-Winになる理由 【企業側の視点】 ◆じつは魅力的なマーケット   利益=(単価-コスト)× 顧客数 人数だけ見るともちろん巨大市場、もし(単価-コスト)がプラスになれば収益のインパクトは大きい。 ◆イノベーション体質を育む →限界ぎりぎりの生活であるBOPからの要求はイノベーティブなアイデアを生む →低コストにつくり上げる技術を考える BOPの窮状はイノベーションの宝庫(必要は発明の母) BOP市場で培ったノウハウを他の市場に転用でき、収益が改善される。 【BOP側の視点】 ◆商品・サービスの選択肢が増える。 選択肢がないことで不利益を被るケースが多い。不要な分(量・機能)まで購入せざるを得ない。BOP市場向けのイノベーティブな商品・サービスは選択肢を増やし、結果低価格で購入できたり、出会えなかった機会(例えば自立)を享受することができる。 以上のように、BOPを顧客として捉えることによって、お互いに豊さを共有できる可能性を感じられる書籍です。企業視点から言えば成功事例も豊富で、BOP市場にある機会を実感できます。

後記 今回のテーマは“Poverty(貧困)”、正直言ってあまり意識したことがありませんでした。アンジー・ブラピ夫妻など海外セレブが積極的な活動を行っているくらいのものでした。この機会に、ほんの、ほんの少しですが「貧困」に触れ、新たな視点を学べました。Blog Action Dayに感謝です。
この本からの収益金はすべてThe Global Fundへの寄付、Kivaを通じての融資に活用します。
 
「貧困」にはたくさんの構造的な原因が存在します。The Global Fundはエイズや結核、マラリアなど貧困と闘う上で最も重要と思われる課題に取り組んでいます。2008年のBlog Action Dayでは、The Global Fundが公式チャリティ団体に選ばれました。   Kivaは、個人が発展途上国の起業家に直接貸し付けを行うことができるマイクロレンディングというサービスを、世界に先駆けて開始した会社の1つです。 これらの起業家はこの資金を元手に、彼らや彼らのコミュニティが貧困から抜け出すための事業に取り組んでいます。