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カナモリさんのいうとおり~ season3

カナモリさんのいうとおり~ season3

「呪いの企画書」の連鎖を絶て!

2009 年 4 月 28 日

Cc: Photograph by Andrew Beeston
【編集部からのコメント】
「○○さんがA社に出した企画書B社の提案に使わせてもらいま~す」。ちょっと手直して仕事になれば効率的ですが、そんなに甘くないですよね。クライアントごとに編集する必要があり、夜が更けていく・・・。結局は誰かが書いた素晴らしい企画書は参考にしつつ、自分で企画書を書いてみて”成功する企画書パターン”をつくる方が早いのではないでしょうか。自分で書いたので次回の提案の時も編集が短時間で早く帰れます。

「呪いの企画書」とは都市伝説のことではない。いずれの企業においても一つや二つは、それを使うと「何度やってもいい結果が出ない」という企画書が存在する。なぜ、そんなことが起こってしまうのか。また、どうすればそれを避けることができるのか。

企業のIT環境は、どこでも社内にネットワークが整備され、ネットワーク上には多数のファイルサーバやデータベースが存在し、様々な文書ファイルが格納されている。
さらに昨今、Enterprise Searchという社内ネットワーク内を縦横無尽に高速検索できるソリューションの導入が進んでいる。
ビジネスシーンにおいては、どの企業でもほぼ間違いなくマイクロソフト・オフィスがドキュメントの作成に使用されているが、それらのドキュメントは極めて簡単に複製を作ることができる。
以上の3点がテクノロジーの面から見た「呪いの企画書」発生の背景だ。

では、そもそも「よくできた企画書」とはどのようなものだろうか。企画書が作成されるに至る前提や背景がその都度異なるので、それを一概に定義することはできない。しかし、「ぱっと見」で、うまくできているなぁ、と思われる企画書というものは存在する。
例えば、チャートがいくつも入っていたり、アニメーションが丁寧に入れられていたりするもので、「よくここまで凝った企画書を書いたなぁ」と思わせるもの。
または、「企画書はA3一枚で」などと、企業独自にフォーマットが規定されている場合に、「よくここまでうまく詰め込んでまとめたなぁ」と思われるものなどだ。

そんな企画書を、これから企画書を書こうと思っている担当者が目にしたらどう思うだろう。「こんなにうまくできているなら、これをベースにちょっと手直しすればうまくできるだろう」と思ってしまうのではないだろうか。冒頭に記した昨今の企業のIT環境がそれを後押しする。企画書を書く前に「参考になるものはないかな」と社内の文書データを検索する。いくつか候補が見つかる。「ああ、これ、いいんじゃないか?」と思うと、それを簡単にファイルごとコピーできる。ささっと手直しすれば、企画書のできあがりだ。

問題は、その元となる「一見よくできた企画書」は、新たに作成しようとしている状況に本当にマッチしているかは保証の限りではないということだ。企画書作成の背景はその都度異なる。また、その元の企画書が良好な結果をもたらしたのかという結果も、企画書の文書からだけでは判断できない。しかし、見た目にうまくできている企画書の魅力を感じると、無理にでもそれに合わせてしまいがちになる。

そうして提案した結果は、企画書の見栄えはよいものの、本当に提案すべき内容と乖離してしまっていることになり、大ハズレとなるだ。しかし、その後も「一見よくできた企画書」が社内で検索される度に、再び使い廻され、同じような結果をもたらす。まさに「呪いの企画書」である。

それを避けるためにはどうしたらいいのか。基本的には「企画書の使い回し」は極力避けるということが基本だ。見た目が問題ではく、課題解決方法の実現によりマッチした内容を都度、作成することが基本であることは言うまでもない。

それでも効率化のために、参考のための過去の企画書を使いたいという、作成する側の気持ちも分かる。だとすれば、最低でも企画書の保管は作成者と、その連絡先が分かる形で保存し、その背景や結果の問い合せができるようにすることが必要だ。もしくは、都度、問い合せが発生する手間を軽減するためには、背景と結果の情報をドキュメントに付記して保存しておくことが望まれる。

テクノロジーの進化は業務の効率化を促進する。しかし、表面的な効率化がビジネスの成功につながるとは限らない。また、企画書は、提案先に理解・納得してもらい、共感を得て、「では、それでやりましょう」という行動を促す活動のサポートツールに過ぎない。
「呪いの企画書」を作り出さない。または、その連鎖を絶ちきるためにも、その基本を忘れないようにしたい。

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